2013年1月25日金曜日

書き手としての成長とは?


 先週のRWWW便りでは、「見えること・聞こえること・感じること」から、授業全体の振り返りと改善に役立つ方法が紹介され、その実際の例が「見えること・聞こえること・感じること2」として今週火曜日に書き込まれました。

 今回は、WWにおいて、子どもたちがよく学んだ結果を、どのように振り返るの? どうやって評価するの? それを同僚や管理職や保護者にどのように説明するの? という点から少し書きます。

 この点についてぜひ見ておきたいのは、『作家の時間』(プロジェクト・ワークショップ編、新評論、2008年)の200206ページに載っている、子どもたちの書き手としての成長をはかる具体的な評価基準です。低学年、中学年、高学年に分けて、子どもにも分かる言葉で書かれていますから、子どもたちも、日々の創作の中で、自己評価に使うことができます。

 『作家の時間』の評価の章はわずか9頁の短い章(139147ページ)ですが、子どもたちを書き手として成長させるための評価について詳しく書かれています。

 英語の文献を見ていても、「いい作品の指標」はよく目にします。そしていろいろな人が考える指標に、当然、共通項は多いものの、それぞれに自分なりに(あるいは自分の教室に)しっくりくる指標になるように、それぞれに考えている印象を受けます。

  WWのカンファランスや評価の本を書いているカール・アンダーソン氏の場合は、「生涯にわたる書き手は、次のことができているときにうまく書いている」として、以下の6つを挙げています。
 
  意味を伝えている
 ジャンルの知識を使っている
構成がいい
  具体的な詳細情報も含まれている
  書き手の声がある
  言語事項の約束がわかっている

  時折、「いい文章って、どういうもの?」と自分に問うてみるのもいかもしれませんし、子どもたちに「なぜ、この作品が優れているのか」とクラスで考えてみるのもいいかもしれません。

 
*****

  Carl Anderson著、Assessing Writers (Heinemann 2005) 58ページより
この本は子どもを書き手として育てるための評価の本です。

なお、Carl Anderson氏は、WWのカンファランスの本として、How’s It Going?: A Practical Guide to Conferring with Student WritersHeinemannより2000年に出版しています。

2013年1月22日火曜日

見えること・聞こえること・感じること 2


前回の「見えること・聞こえること・感じること」に対して、イマイチ何を書いていいのかイメージがつかないのだが・・・、というメールをいただきました。

 私が大人たちを対象に絵本を使ってブッククラブをしたあとに、参加者に書いてもらった「見えること・聞こえること・感じること」を紹介します。

                    (出典: 『読書がさらに楽しくなるブッククラブ』18ページ)

 これらから、結構盛り上がったブッククラブになっていたことがわかると思います。(批判的なことがほとんど出されなかったのは、「言いたいことを言える雰囲気」を私が作り出していなかったのかもしれません。あるいは、本当に楽しい時間が過ごせたからかもしれません。)

 私が厳選した絵本の中から、自分たちが選んだ絵本でグループをつくり、それぞれ3~4人の小グループで話し合いましたから、予定していた20分では足りずに、30分近く話し合ってもらいました。それでも、足りなかったぐらいです。(大人にとっても、絵本はとても盛り上がります。「大人だからこそ」かもしれませんが。先日は、絵本が用意できなかったので詩でやりましたが、これもとても盛り上がりました。)

 なお、このことからもWWRWの成功の要因が確認できると思います。少なくとも、いい授業や研修の成功の条件として、5つの要因は欠かせません。

2013年1月18日金曜日

見えること・聞こえること・感じること


前回教室内の物理的環境について振り返りました。
今回は、自分の授業全体の振り返りと改善に役立つ方法を紹介します。
 それは、タイトルにあるように「見えること・聞こえること・感じること」を書き出してみるという極めて単純な方法です。下の図のような感じで。私たちは、常に見、聞き、感じていますから、それを評価(=振り返りと改善)の手段として活かしてしまおうというわけです。 
  「授業」は、自分がしているWWでも、RWでも、従来の国語の授業でも、他教科の授業でも、あるいは授業以外の職員会議や保護者会などでも使えます。(何にでも使えると思います。)
 これをすることで、現状を把握させてくれるだけでなく、自分がどう変えていきたいのかも見させてくれます。自分がどういう授業を志向しているのかも。

 これは、教師のみが考えて(わずか5分ぐらいで)書き出せますが、子どもたちにも書き出してもらうとより一層効果的だと思います。同じ授業に対して、異なる視点からの情報が得られるわけですから。

 授業参観のあとのフィードバックや、研究授業のあとの研究協議にも使えます。
 私たちは、これらの3項目を素早く把握し、かつ判断もしているわけですが、これらは協議の際のテーマに含まれていないかもしれません。特に、「感じること」は。ひょっとしたら、学びの質や量をもっとも左右しているかもしれないのに。

 そろそろ年度末も近づいてきたので、振り返りと来年度に向けての改善のためにWWでもRWでも、他の教科でもどれか一つを設定して、ぜひ書き出してみてください。思わぬ発見があるはずです! そして、ぜひ結果を下のコメント欄に書き込むか、吉田宛=pro.workshop@gmail.comに送っていただけるとうれしいです。

2013年1月11日金曜日

教室内の物理的環境(とその変化)

   RWを始めた最初の頃の教室と、現在の教室を眺めてみると、教室内の物理的環境にはどんな変化が見られますか?

 増えたものは? 減ったものは? 配置の変わったものは?

 総合的に判断すると、教室環境はよくなっていますか? それともその逆でしょうか?

 本の量や配置だけをとっても、いろいろな変化があると思います。

 学校図書館との連携による本が増えたり、公立図書館の団体貸出による本が増えた人もいらっしゃると思います。

 あるいは逆に、本が減った人もいらっしゃるかも知れません。厳選しているうちに本が減ったり、本以外の読み物やファイルなどの物が増えて、スペースが足りなくなったかもしれません。

 また、他のクラスの子どものために、廊下などの共有スペースに置く本が増えたために、教室の本が減ったという人もいらっしゃるかもしれません。

 もちろん置くものの配置にも、本の分類の仕方にも、変化があると思います。

 中学校レベルの優れた実践者ナンシー・アトウエル氏は、2010年にWWについて、2011年にRWについてのDVDを出しています。★

 まだ、RWの方のDVDを見始めたところですが、そのDVDは、新学期が始まる直前の彼女の教室の案内から始まります。

 それを見ながら、改めて物理的環境が担う部分は、本当に大きいと思います。

 また、自分が教えている物理的環境にも思いがいき、自分の教室ではどういう変化があったのかや、気付いている多くの改善すべき点も、なんとかしなくてはと思います。
 
 年度末まで待たずに、この時期に教室環境を振り返ると、今、教えている子どもに役立つような微調整もできると思いますし、自分の振り返りにもなると思います。

 教室の中の物理的環境の変化やその中で行っている工夫なども、ぜひ、教えてください。

★ アトウエル氏のWWについてのDVDはWriting in the Middle: Workshop Essentials
2010年に、RWについてはReading in the Middle: Workshop Essentials
2011年に、どちらもHeinemannより出ました。

2013年1月4日金曜日

ミニ・レッスンをする時に大切なこと


年初めの書き込みです。
今年もよろしくお願いします。
WWRWにまつわる情報を引き続き提供していきます。

WWも、RWも、基本的にはミニ・レッスンから始まりますが、それをする時に大切なことを見つけました。皆さんがミニ・レッスンをする時の参考になるのでは、と思い掲載します。若干、私が加えたり、変えたのもあります。
皆さんが加えたり、変えたりしたいものがあったら、ぜひ教えてください。

  ・ミニ・レッスンの継続性(ユニット単位で考える)
  ・子どもたちのニーズを優先
  ・できるだけ短く(それでも長くなる!)
  ・ポイントを絞る
  ・子どもたちが知るべきことはしっかり伝える
   (質問する形で投げかけるのは避ける
  ・ペアで話させて、考えさせる/考えを吐き出させる時間も確保
  ・楽しく
  ・年間のスパンで指導要領(+教科書)は押さえる

    (More than Guided Readingby Cathy Mereの47ページを参考に作成)

 従来の一斉指導というか、指導案をベースにした授業をする時に大切にすることとの違いと共通点については、どのようなことを思いをめぐらせましたか?

 同じようなリストが、カンファランスをする時に大切なことや、共有の時間をする時に大切なことでも作れるはずです。ぜひ考えた方は、教えてください。