2015年4月25日土曜日

リーディング・カンファランスの内容




 今読んでいる本★には、中学生以上の子どもが多数登場しますが、その中でリーディング・カンファランスの内容としては、以下の3つのカテゴリーに分類されると書かれています。

1)読書生活
2)効果的な読み方
3)より複雑な、取り組み甲斐のある読書に向かうこと

 これらは、いろいろな学年で教えられそうなことばかりです。

 この中で特に(3)には、自分があまり得意でないタイプの本を読めるようになるために、他の人が関わることの大切さを感じました。

 自分の読書生活を振り返っても、不得意なタイプの本に多少でも手が出せているときには、他の人のサポートやお薦めなど、他の人が関わっていることが多いからです。

 以下、上の(1)~(3)の質問例を、自分のメモのために、ざっと書き出してみたので、紹介します。

1)の読書生活に含まれる例(80ページ)
  今何を読んでいるの? どうやって選んだの? いい本はどうやって選ぶの?
  「次に読む本リスト」にはどんな本があるの? 好きな作家は?
  去年はどのくらい読んだの?
  自分を読書家だと思う? 家ではどこで読むの?

2)にの効果的な読み方に含まれる例 (82ページ)
  読書はどんなふうに進んでいる?
  今読んでいるのは、読みやすいもの? それとも 読みにくいものは? どうやって読みやすいか読みにくいかが分かる?
  この本で分からなくなったときのことを教えて。どうやってそれに対処して、話が理解できるようになった?
  登場人物について教えて。どんな人たち? その人たちについてどう思う?
  この本の中心にあるような問は? 著者は登場人物たちを通して、どんな問に答えようとしている?
  だいたい読み終わったようだけど、登場人物が変わっていったことを考えると、登場人物について、何かが分かるような場面(時)はあった? 登場人物について分かることは? その根拠となることは?
  前に読んだ本とこの本はどう違う?

(3)に含まれる、より複雑な取り組み甲斐のある読書に向かうための例(8485ページ)

  この作家の本は他に何か読んだ? これと同じぐらい難しい本を読んだことがある?
  「これから読みたい本リスト」のなかで、どれがチャレンジがありそう? 読み手としてどうやって成長していこうかと考えたことはある?
  今年はどんなジャンルを読んできた? 普段読まないジャンルは? 読むのが大好きなものから、思考を変えることを求めるようなものへ移るためのステップになるような本を、一緒に考えてみよう。
  今年読むのをやめた本は?
  今年読んできた本を見ると、何か似ている点はある?
 
  Penny Kittle著 Book Love: Developing Depth, Stamina, and Passion in Adolescent Readers (Heinemann, 2013) 6章がカンファランスで、その7788ページに詳しく書かれています。

2015年4月17日金曜日

特別支援学級でのリーディング・ワークショップの実践



昨年度の実践を振り返ったS先生からのメールを紹介します。
S先生は昨年度、教員人生で始めて特別支援学級(以下、特学)を担当しました。

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RWは2学期から続けることができた。
特学でもできるんだ!の驚き。
人の学び方って障害があろうとなかろうと根本のところは変わらないってことを実感できたところが大きい。

特学でのRWでは、ちゃんと読み方のミニ・レッスンを続けることができた。例えば登場人物を探したり、好きな場面をみつけたりなどを読み聞かせ絵本を通して行ったり。また、選書の練習では、それぞれの読みたい本を市の中央図書館に自分で借りに行くのを毎月1回取組んだ。
ひとり読みの時間では、それぞれのペースで読む。そして、今日のミニ・レッスンで確認しためあてを共有の時間にみんなで紹介し合い祝福し合った。読んだ本について話すときは、みんなとても嬉しそうだった。

ミニ・レッスンのレベルや頻度は、通常級に比べればかなりゆっくりだし、そのペース作りは独特なものがある。しかし、ちゃんとカンファランスができれば、ひとり読みも可能だということが分かった。自立した読み手は何も通常級の子たちだけのものではないんだと思えた。

RWは、相棒の先生からも好評だった。
カンファランスノートを同僚と共有することが出来たことがよかった。それは僕らの指導の軌跡となり、宝物のようになっている。
学習の軌跡が載っているので、支援介助として入ってもらっている先生からもインタビューをして書き込んでいる。 ①やったこと、②気づいたこと、③次回やること、ぐらいの簡単なものだが、地味に記録し続けることの威力を後々わかることになる。 子供の成長がわかるようになるし、何が必要なのかもわかってくる。とりあえず記録するってところが味噌。
子供のカンファランス記録をなんとなく考えていて書き残さないってことは、歪曲されるし美化されるし、子どもたちを学力レベルにわけた集団、塊でみてしまい安心してしまう。

ワークショップで学ぶってことは、どんな子供の成長にも当てはまるのか、当初の仮説は検証出来たけれど、これが無理に自分で当てはめてしまっていないか慎重に通常学級でも続けていけるといい。どこかに自己批判を持ちながら。
でも、こうやって、教師も子どももトライ&エラーを覚悟で修正しながら続けることでしか、子供の力を伸ばすこと、自立に向けて伸ばすことは出来なんだろうなぁと思う。One fits all (すべての子どもにあった一つの教え方)のパッケージ★は無いってこと。


★ 「教科書教材を使った単元学習を含めて、できあいの指導案」という意味です。

追加情報: 子どもの数は?
特学の人数は8人です。各学年1名ずつ。6年生だけが3名です。
全員を2人の担任でみていました。
そのほうがインクルーシブで自然でした。
なぜ、情緒学級と知的学級にわけるのか、意味が分かりません。

2015年4月10日金曜日

最初の数時間で達成したいこと


年間計画の最初の5~10時間の目標を何に設定するか(そして、着実にそれを実現するか)は、とても大切です。

あなたは、何に設定していますか?

最初から、教科書の内容をカバーする授業では、おそらく1年間のWWやRW(国語)の授業が失敗することを約束してしまいます。

年間を通して、作家や読書家となって書くことや読むことに取り組んでいくことが、どれだけ楽しいのか、ワクワクすることなのかを体感してもらうことが大切です。イヤ、不可欠です。
これまでの国語の授業とは違って、教師(ないし教科書)が求める正解を当てっこすることではなくて、自分たちが主役になって書くことや読むことにドンドン挑戦できることを知ってもらうことが大切です。
そ して、書くことや読むことは授業中に限定されないことも。子どもたちは作家ノートや読書ノートを活用しながら、どこでも、いつでも書いたり、読んだりし続 けていいのです。最初の5~10時間は、こうしたことの基盤を確実に築く期間です。この中には、作家のサイクルや読書家のサイクルを、年間を通して回し続 けるということも含まれています。★



『ライティング・ワークショップ』『作家の時間』『リーディング・ワークショップ』そして『読書家の時間』のすべてが、それを強調していますので、ぜひ参考にしてください。
その中では、教師が、子どもたちよりはちょっと先を行っている作家や読書家としてのモデルを示すことも大切です。(モデルとしての自分に自信のない方は、同僚や校長・教頭に登場願ってもいいかもしれません。自分の「好き」を披露してもらうチャンスを提供してください。)


★ それも、何十回、何百回と回します。
  自由作文とWWの何が違うのですか、と尋ねられることがあります。違う点はたくさんありますが、代表的なものとしては、①このサイクルを回し続けるのか否か、②下書きをどれだけ大切にしているか、③書いている間のカンファランスの有無だと思います。題材は自分で選んで書く自由作文であっても、最初から清書の一歩手前を期待されていては、なかなか書けませんし、いいものにもなりません。

 

2015年4月3日金曜日

国語の授業(=WW&RW)の最初にしたいこと



いよいよ、来週からは新年度の授業もスタートですね。
前回は、その際、中心に位置付けられるアイス・ブレーキングの方法を紹介しましたが、導入の仕方はこのブログで過去5年近く、何度か扱ってきたテーマです。

その中でも重要度がきわめて高いものの一つが、教えることになった子どもたちのことを知ることです。「アンケート」で検索してみたら、すでにたくさんありました

https://sites.google.com/site/writingworkshopjp/teachers/kyouzai-daunrodo からは、書くことや読むことに関して年度始めにとっておくと年度の終わりと比較できるアンケート用紙がダウンロードできます。

もう一つやれることとしては、年間を通してWWないしRW(=まともな国語/役立つ国語/身につく国語)を実践するための目標を設定するために、子どもたちに4人一組になって(カッコの中はRW)、
・書くこと(読むこと)が可能にしてくれること
・作家やノンフィクション・ライターや詩人(読書家)がしていること
・そもそも、なぜ書くの(読むの)?
・「書く(読む)」ってどういうこと?
などでブレーン・ストーミングをしてもらい、それらをすべて達成することがこれからWW(ないしRW)でしていくことですと、子どもたちの期待感を高めることも大切です。
小学校でも、中・高学年になると国語の時間に期待がもてない子どもが多くなっていますから。(小学校高学年以上は、ひたすら苦役としての国語の時間という声も??)

そして、最後になりましたが、一番大切なことは、
・一人ひとりの子どもは異なる大切な存在であること
・自立した(する方向で歩み続けている)読み手/書き手/学び手/考え手/行為する人であること
を肝に銘じることだと思います。
これさえベースにあれば、すべては拓けていきます。