2017年4月7日金曜日

「12ページのメモや下書きの価値 ➡ 子どもに出す課題に真剣に取り組み、その過程を見せる」

 RWWWの中学校レベルの優れた実践者、ナンシー・アトウェル氏は、詩というジャンルを教えるときには、毎年、ある週末を使って、自分の書けそうな題材リストから、実際に詩を書いて、そして、その過程を子どもたちに伝えています。

 詩を書くために、題材を決め、ブレインストーミングをしたり、メモを取ったり、下書きをしたり、書き直したりし、題名の候補リストを作ったり等々、いろいろなことを行っていますし、校正もします。

 アトウェル氏の本の中にその詩が紹介されていますが、その詩のあとに、「ここまで書くのに12ページのメモや下書きが必要でした」と書かれています。★

 アトウェル氏は、12ページのメモや下書きのプロセスを、プロセスを経た順に並べて子どもたちに渡し、書き手のたどるプロセスを考えさせ、かつ、子どもたちからの質問を受け付けています。

 子どもたちからの質問を見ていると「どうして○○を○○に変えたの?」等、書き手が行っているいろいろな苦労や工夫に目が留まっているのがよくわかります。

 その後には、「いいものを書こうとしている人が行っていること」をみんなで具体的に考え、言語化しています。書き手が行っていることが、本当に多岐にわたり、リストされていますが、たしかに実際に行っていることなので、納得です。

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 これを読みながら、いいものを書きたいと思っている人が真剣に取り組んでいるその過程を、はっきりわかるように見せることの、教育的な価値を感じます。

 ➔ そう思うと、新学期、自分が出そうと思っている課題の一つを、自分で真剣に取り組み、その過程をはっきりと段階を追って見せる、ということをやってみたくなります。

 書くことでも、読むことでもいいと思います。その課題を自分がどのように取り組むのか、その過程でどういうことを具体的に行っているのか、その結果、どんな学びをしているのか、それを子どもたちと一緒に辿れるように準備する、ということです。

 書くとき、読むときに、実際に行っている苦労や工夫は、先生は表に出さない(子どもに見せない)ことが、意外に多いかもしれません。

 でも、時にはミニ・レッスンでそれを見せることで、単に「ポーズとして」モデルを見せるのではなくて、本当の意味でモデルを見せることができるように思います。

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★ Nancie Atwell 著 In the Middle: A Lifetime of Learnng About Writing, Reading and Adolescents (third edition) Heinemann 社より出版、詩を書く過程で行っていること、それを共有することについての学びは、109~114ページに詳しく書かれています。

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