2017年6月2日金曜日

詩の美味しい食べ方(お行儀悪くてもOK!)

 2013年9月13日のRWWW便りのブログで、ビリー・コリンズ(Billy Collins)という詩人が、「詩とは」という題名の詩で書いている、最後の5行を紹介しました。読者が詩を読むときに「したがる」ことが描かれています。


   <略>

         しかし読者がしたがるのは
       ロープでイスに詩を縛りつけて
        告白させようと拷問すること

           ホースで詩をたたき
        本当に意味しているものを見つけようとする

 (この詩は『ビリー・コリンズ詩選集 エミリー・ディキンスンの着衣を剥ぐ』小泉純一訳、国文社、2005年、42-43ページにあります。)

上の5行は「しないほうがいいこと」かと思いますが、 最近、「詩はおいしく食べれる!」と思える、子どもが楽しめそうな詩に出合って、なんだか嬉しくなりました。

ご存じの方も多いと思いますが、以下のイブ・メリアムの書いた、「詩の食べ方」という詩です。

「詩の食べ方」

   お行儀なんか気にしなくていい。
 そのまま指でつまんで、
 がぶっとかぶりついて大丈夫
 もし汁がでて、あごからたれたら
 ペロッとなめちゃえばいい。
 すっかり熟して、もう食べごろだから
 いつもで好きなときにどうぞ。
 ナイフもフォークも
 スプーンもお皿も
  いらない。
 もちろんナプキンもテーブルクロスも。
 皮とか茎とか芯とか、ペッと
 はきだす種とか、
 捨てるところは
 なんにもないはず。

 『ガラガラヘビの味 アメリカ子ども詩集』
  アーサー・ビナード/木坂 涼編訳 12-13ページ

 個人的には、この短い詩、数回読み直して、楽しんでいます。最初はがぶっとお行儀悪くかぶりついて、全体を楽しみました。

  それから最後の4行がちょっと、分かりにくくて読み直しました。

  そうしていいる間に、最後の2行「捨てるところは/なんにもないはず」が頭に響き、そこから中学レベルのRWとWWの優れた実践者、ナンシー・アトウェル氏が自分の授業で、自分の詩を書くプロセスを子どもに伝えるレッスンを思いだしました(2017年4月7日のRWWW便り「12ページのメモや下書きの価値 ⇒ 子どもに出す課題に真剣に取り組み、その過程を見せる」参照)。

  このプロセスでは、アトウェル氏の詩はさらっと書かれているようで、実は一語一語の選択まで、とても丁寧に推敲されていることがわかります。それで「捨てるところはない」ことに納得です。

 こんな短い詩なのに、この詩でブッククラブ(ポエム・クラブ?)ができると思えるぐらい、短時間でいろいろな考えが浮かびました。

 「詩」って、美味しくて楽しいもの!」なんですね、と思わせてくれた詩でした。


1 件のコメント:

  1. 詩はスペースの使い方も大切にされていると思いますが、上の詩の引用、不用な字下げが入ってしまいました。ブログ入力画面では字下げされていないのですが、上の画面では、うまく表示できずに、すみません。

    返信削除