2017年10月13日金曜日

書き手を育てるピア・カンファランス


教師によるカンファランスと、子どもたち同士が行うピア・カンファランスは、あまりに効果的なので、これまでも繰り返しこのテーマについては扱ってきました。
http://wwletter.blogspot.jp/ の左上の検索欄に「ピア・カンファランス」を入力して🔍をクリックしてください。)

ピア・カンファランス(およびカンファランス)のいい点は、フィードバックを受け取る側はもちろん、提供する側にも学びがあることです。

http://wwletter.blogspot.jp/2010/05/ww.html のような環境が整っていますから、子どもたちは極めて主体的に学び、書き手(や読み手)に成長していきます。

今回は、フィードバックを提供することに焦点を当てた情報提供です。

受け入れられるフィードバックをするには、それなりのスキルが必要です。(自分が言いたいことだけを言っていては、受け取る側はいい気持ちがしませんし、そのほとんどを受け取ってくれない可能性も大です!)
その意味では、教師が子どもたちに対してカンファランスする際に使うスキルがすべて必要であることを意味します。★そのポイントについては、『リーディング・ワークショップ』(ルーシー・カルキンズ著)の第6章に詳しく書いてありますが、このプログで紹介した

ピア・カンファランスを通して、フィードバックを提供する側が身につけるスキルには(ライティング・ワークショップの場合)、
・読み手として、作品や書き手を意識する。
  ・効果的な書き方にはどんな特徴があるかを意識する。
  ・書くときに使う言葉を使いこなせるようになっていく。
  ・編集者としての目を、自分が書くときに応用できるようになっていく。
   (書くときに自分の中の編集者と、自問自答ができるようになる!)

だからと言って、子どもたちみんながすぐにいいフィードバックが提供できるわけではありません。練習が必要です。(教師ががんばって教え続けるよりも、子どもたちががんばって練習できる機会をできるだけたくさん提供することの方が、授業としてははるかに価値があり★★、これこそがアクティブ・ラーニングと言えるものです!)

それでは、具体的に、どのようにその練習の機会とサポートをしたらいいのでしょうか?

○ チェックリストを提供する ~ リストの数や内容等は、対象年齢等で柔軟に対応する。(特に小学校低中学年は、少なくとも初期のうちは不可欠と捉えた方がいいでしょう。)

○ 「好きなこと、~ならよかったと思うこと、疑問に思うこと」 ~ 作品にフィードバックを提供する際は、以上の項目を一つずつ提供することを念頭に入れて読むと、「間違い探し」にならなくて済みます。(その意味では、教師こそが使える方法です!!)★★★
ちなみに、この方法は、「大切な友だち」=カンファランスのアプローチにとても近いです。

○ 小学校高学年以上の生徒には、フィードバックをする際に大切にしたい点をリストアップさせてから、やってもらいます ~ リストには、テーマ、構成、文の構造/滑らかさ、言語規則などが含まれます。
 どの段階でピア・カンファランスをするかによって、力点は違ってきます。まだ下書き段階なら、内容やテーマが中心になります。かなり修正を加えた段階なら、構成や文の構造や滑らかさに力点が移ります。清書段階のものは、言語規則ー=校正が中心です。その意味では、フィードバックを提供する側よりも、受ける側のニーズこそを重視する必要があると言えます!

○ 建設的な話し方とは・・・ ~ 「ピア・カンファランスをするときにしていいことと悪いこと」
 まずは、フィードバックをする側が言ったり、したりしてはいけないことからリストアップします。「これ、最悪!」「この書き始めじゃ、続けて読むは気しないよ」など。
 次に、望まれる言い方をリストアップしていきます。「この点についてとても興味を持ちました。もう少し詳しく教えてもらえませんか」「書き始めはとても惹かれますが、他のよりいい方法はないかなとも思いました」など。

○ 具体的に指摘する ~ 読み終わってから、「とてもよかったです」では、何がよかったのか、さらに何をよくできる可能性があるのか、さっぱり分かりません。ピア・カンファランスを通じて、具体的なポイントを指摘できる目を養うことは、イコール自分が書いているときに、それらの点を意識することを意味します。

子どもたちは、自分の作品よりも、他者の作品に対しての方がクリティカル★★★に見られるものです。

私自身が、ピア・カンファランスを普及する段階で学んだことを最後に紹介します。もう10年以上前のことですが、ピア・カンファランスのやり方として、「批判的な友だち」という方法を紹介しました。しかし、その言葉のまずさによって、子どもたちはあまりやりたがりませんでした。いくら、「批判的なんだけれども、建設的・前向きに接してフィードバックをしてください」と言ってもダメでした。そこで、criticalという言葉には、「大切な/重要な」という意味もあることを思い出し、名称を「大切な友だち」に変更したところ、子どもたちはすぐに受け入れてくれました。誰も、批判的には接したくないようです。いい点や改善点に焦点を当てた方が、積極的に取り組めるのです。誰もが褒めてもらいたいし、さらに良くなりないのですから。ということで、使う言葉が大事であることを思い知らされました!



★ 教師は自分だけがカンファランスをするのだとがんばっていては、極めて重要な学びの機会を子どもたちから奪い去っていることにもなりかねない、ということです。

★★ だからこそ、ライティング・ワークショップやリーディング・ワークショップは極めて効果的な教え方なわけですが、学びを最大化するために教師の責任(役割)と子どもの責任(役割)を見直すのに役立つ「責任の移行モデル」を紹介する『「学びの責任」は誰にあるのか』(ダグラス・フィッシャー&ナンシー・フレイ/吉田新一郎訳、新評論)が来月出版されますので、参考にしてください。

★★★ ピア・カンファランスをしながら、クリティカルな思考力も身につけられるというお得な方法です!! ここでの「クリティカル」は、単に「批判(的)」ではありません。まずいところも、いいところも両方です。

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